【元職員が解説】国家総合職の年収は低い?年齢別のモデルケースや新卒1年目の給料

国家総合職の年収は低い?

「国家総合職(キャリア官僚)の年収は本当に低い?」「新卒から年収1,000万円に到達するまでの推移を知りたい」など、就職の検討にあたって疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

国家総合職の年収は、国家公務員のなかでは高いものの、競合となる就職先よりも低い傾向です。一方で、若手の給料アップや成果給へのシフトといった待遇改善も着実に進められています。

本記事では、国家総合職の平均年収や年齢別のモデルケース、年収と成果の関係などについて、元国家総合職の筆者が7年間の勤務経験と最新データをもとに徹底解説します。

リアルな収入事情を理解して後悔のない就職先選びができるよう、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

国家総合職(キャリア官僚)の平均年収

国家総合職(キャリア官僚)の平均年収データ

人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、国家総合職(キャリア官僚)を含む行政職の国家公務員の平均年収は約684万でした。平均月収は約41.5万円、平均の基本給(俸給)は約33.6万円であり、調査対象の平均年齢は約42歳です。

ただし、上記の平均年収は国家総合職のみではなく、国家一般職を含めた数値です。総合職は一般職と比較して昇給スピードが早いため、総合職のみの平均はさらに高くなります。

また、国家総合職の年収を構成する要素は、基本給と各種手当です。基本給は「俸給表」という給与テーブルで細かく定められており、1年ごとに年収換算で5万円〜20万円程度上昇していきます。

各種手当の種類には、以下が挙げられます。

手当の種類概要
超過勤務手当・正規の勤務時間(7時間45分)を超えて勤務したぶん支給される手当
・金額は給与を時給に換算して計算される
期末手当・毎年6月と12月に支給されるボーナス(賞与)の一つ
・月収に応じて機械的に決まる
勤勉手当・毎年6月と12月に支給されるボーナス(賞与)の一つ
・成績(人事評価)に応じてもらえる金額が決まる
地域手当・民間賃金の高い地域に勤務する場合に支給される手当
・東京都特別区は月給の20%
本府省業務調整手当・本府省で勤務する場合に支給される手当
・課長補佐は3万9,200円、係長は2万2,100円、係員は8,800円
住居手当・賃貸住宅を利用している場合に支給される手当
・最高で月あたり2万8,000円まで
通勤手当・通勤で公共交通機関や自動車を使う職員に支給される手当
・交通機関の場合は定期代、自動車の場合は通勤距離に応じた金額となる
扶養手当・扶養する家族がいる職員に支給される手当
・配偶者は3,000円、子は一人あたり1万1,000円など

このように、国家総合職の年収は基本給と各種手当によって構成されており、年次によって上昇します。年収が低いかどうか考える際には、職員全体の平均年収とあわせて、年齢ごとの推移を理解することも重要です。

参照:人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査の結果」
参照:人事院「俸給表」
参照:人事院「国家公務員の諸手当の概要」

国家総合職の年収推移|年齢別のモデルケース

国家総合職の年収推移|年齢別のモデルケース

令和6年に人事院が公表した資料によると、国家総合職(キャリア官僚)の年収の年齢別モデルケースは以下のとおりです。

役職年齢モデル収入
係員22歳年収467万円(月収28万円)
課長補佐35歳年収757万円(月収45万円)
課長50歳年収1,292万円(月収76万円)
局長年収1,819万円(月収109万円)
事務次官年収2,385万円(月収143万円)
※月収と年収は、基本給(俸給)と地域手当、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当をもとに算出されている
※参照:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」

国家総合職は年功序列制であり、モデル収入は22歳で年収467万円、35歳で年収757万円と年齢が上がるにつれてゆるやかに上昇していきます。国家総合職が年収1,000万円に到達するのは、40代になってからです。

ただし、上記の金額は国家総合職が毎月安定してもらえる基本給と手当であり、実際には超過勤務手当(残業代)が加算されます。

残業代の時給は年収を年間の勤務時間で割った金額であり、係員は時給1,500円~2,000円、課長補佐は時給3,000円~3,500円が目安です。

もし課長補佐が毎月30時間残業すると、残業代は月に約10万円、年間で約120万円が加算され、年収は約850万円になります。忙しい部署に配属されれば、40代手前で年収1,000万円に到達する場合もあります。

国家総合職の新卒1年目でもらえる年収

国家総合職の新卒1年目の年収

国家総合職(キャリア官僚)の新卒が1年目にもらえる年収と月収(初任給)は、以下のとおりです。

区分1年目の年収・初任給
国家総合職(大卒)年収467万円(月収28万円)
国家総合職(院卒)年収496万円(月収30万円
※令和7年度以降の初任給をもとに記載している。
※参照:人事院「国家公務員の紹介」

院卒の場合は大卒より年齢が上のため、基本給(俸給)が高くなり、年収も約30万円上回ります。

なお、上記はあくまで基本となる給料であり、実際には超過勤務手当(残業代)をプラスでもらえます。特に、1年目の職員は国会の連絡係として配属されるため、月に80時間程度の残業が続くことも少なくありません。

大卒1年目の係員の残業代は、時給1,500円程度が目安です。もし月に50時間残業したら、年収に約120万円が上乗せされて約587万円になります。

国家総合職と国家一般職・民間企業の年収比較

国家総合職(キャリア官僚)の年収を国家一般職や民間企業の年収と比べると、以下のようにまとめられます。

  • 国家一般職とは1年目の段階で約100万円の差がある
  • 民間企業の平均よりは高いが競合と比べると低い

それぞれのデータを詳しくみていきましょう。

国家一般職とは1年目の段階で約100万円の差がある

国家総合職の年収を国家一般職の年収と比較した場合、総合職の方が明らかに高い水準だと分かります。

実際に年収のモデルケースを並べると、以下のとおりです。

区分1年目35歳時点
国家総合職(大卒)年収467万円(月収28万円)年収757万円(月収45万円
国家一般職(大卒)年収363万円(月収22万円)年収488万円(月収29万円)
※国家一般職は地方機関勤務の場合を記載している。
※参照:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」

国家総合職と国家一般職は1年目の段階で年収に約100万円の差があり、35歳時点で差は約250万円に広がります。

年収の差が広がっていくのは、両者の昇進スピードが大きく異なるためです。一般的に、国家総合職は約4年で係長、約7年で課長補佐に到達するのに対し、国家一般職は約8年で係長、約17年で課長補佐になります。

国家総合職は若いうちから責任のある仕事を任されるため、それにともない比較的高めの給料が支給される仕組みです。

民間企業の平均よりは高いが競合と比べると低い

国家総合職の年収を民間企業と比べると、企業の平均的な水準は超えているものの、就職先の競合となる企業よりは低い傾向にあります。

国家公務員全体の年収は、企業規模50人以上の企業の年収水準と釣り合うよう毎年調整される仕組みです。国家総合職は国家公務員のなかでは年収が高いため、民間企業の平均的な水準を超えているといえます。

一方で、国家総合職として就職する学生は、より年収の高い有名企業に就職できたケースも多くあります。人事院のアンケート調査によると、入省1年目職員の同級生の就職先は「コンサルタント・シンクタンク」「金融」「商社」などが人気です。

例えば、東大生の就職先ランキングに載る民間企業の平均年収は、以下のとおりです。

就職先平均年収平均年齢
三井物産1,900万円42.3歳
野村総合研究所1,271万円40.2歳
日本政策投資銀行1,111万円37.2歳
※いずれも直近(令和6年度)の有価証券報告書を参照している。

国家総合職が50歳で年収1,292万円に到達する実態を踏まえると、競合となる企業よりは年収水準が低いといえます。

参照:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」
参照:人事院「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査の結果」

国家総合職の年収と成果の関係

国家総合職(キャリア官僚)の年収と成果の関係は、以下のようにまとめられます。

  • 人事評価に応じて昇給スピードに差がある
  • 半期ごとの成績でボーナスの支給割合が決まる

国家公務員は公務という仕事の性質上、短期的な成果で報酬に差をつけられません。そのため、給料を増やすよりも、やりがいのあるポストを割り当てることで優秀な職員へ配慮しています

一方で、そのなかでも成果に応じて昇給スピードやボーナスにできる限り差をつけているのも事実です。

それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。

人事評価に応じて昇給スピードに差がある

国家総合職の年収は、年に2回行われる人事評価の結果に応じて、毎年昇給するスピードが異なります。

昇給区分はAからEまであり、評価に応じて基本給(俸給)の上がり具合が決まる仕組みです。

基本給は、A評価なら8号、B評価なら6号、C評価なら4号、D評価なら2号、E評価なら0号それぞれ上がります。各俸給は「俸給表」と呼ばれる一覧表で確認可能です。

例えば、大卒1年目の評価がA・B・Cのいずれかによって、2年目の年収に以下の差が生まれます。

評価収入の伸び2年目の年収
A評価年収14.4万円(月収1.2万円)年収481万円
B評価年収10.8万円(月収0.9万円)年収478万円
C評価年収7.2万円(月収0.6万円)年収474万円
※大卒1年目は2級1号俸から始まるため、Aは2級9号俸、Bは2級7号俸、Cは2級5号俸になる。
※参照:人事院「俸給表」(令和7年度)

A評価とC評価を比べると、大卒2年目は年収で7万円ほどの差が開くのが実態です。ただし、A評価を取れるのは職員の上位5%、B評価は上位25%が目安であり、誰でも高い評価を取れるわけではありません。

国家公務員の人事評価に応じた昇給スピードの差は、単年だとそれほど大きくないものの、長期的な視点でみると広がりを実感しやすくなります。

半期ごとの成績でボーナスの支給割合が決まる

国家総合職の年収を大きく左右するボーナス(賞与)は、半期ごとの人事評価で付けられる成績によって支給割合が異なります。ボーナスは年に2回もらえる「勤勉手当」と「期末手当」を足し合わせたもので、令和6年度以降は月収の4.60月分が支給される決まりです。

成績をもとに、ボーナスの約半分にあたる「勤勉手当」が以下のとおり4段階評価で加算・減額されます。

成績加算・減額率
特に優秀121.5%~205%
優秀110%~121.5%
良好98.5%
良好でない90%
※令和6年6月期の数値を抜粋。
※参照:人事院「国家公務員の諸手当の概要」

例えば、勤勉手当の基本額が30万円の場合、成績の違いにより生じるボーナスの幅は27万円~62万円です。

成績に応じたボーナスの増減は有名企業と比べると小さい傾向にあるものの、国家総合職にも一定のインセンティブが用意されています。

【経験談】国家総合職の年収の事例

国家総合職(キャリア官僚)として約7年間勤めた筆者の年収推移は、以下のとおりです。

勤続年年収ベース給残業代
1年目650万円350万円300万円
2年目550万円350万円200万円
3年目650万円360万円290万円
4年目750万円370万円380万円
5年目880万円380万円500万円
6年目900万円390万円510万円
※年収=ベース給+残業代。ベース給にボーナス(賞与)を含めている。
※分かりやすさのため、金額は簡略化している。

筆者の場合、国家総合職の1年目から3年目の役職は係員で年収は550万円~650万円、4年目~6年目の役職は係長で年収は750万円~900万でした。キャリアを通じて残業が多めの部署(月平均70~80時間)に配属された結果、年齢別のモデルケースよりは高めになっています。

3年目までは残業代が満額支給されなかったため、金額が抑えられていました。4年目以降は残業代がすべて支給され、そのぶんの収入が増えている傾向です。若手職員の年収としてみると、有名企業に劣らない程度はもらえていたことが分かります。

また、公表データからは見えない実態として、以下の2点が挙げられます。

公表データからは見えない実態
  • 残業代による年収の変動が激しく、残業代が基本給を大きく超える年も多い
  • 残業時間が多い月でも、労働の密度が高くない場合がある

筆者の事例のとおり、年収の多くは残業代に支えられており、その年の忙しさや配属部署によって金額が大きく異なります。筆者が例外なのではなく、同期の職員も多くの場合は長時間労働により同様の年収水準でした。

さらに、長時間労働は当然是正されるべきですが、国会質問の事前通告がなされるまで「待機」だけしている時間も少なくありません。そのため、筆者としては労働の密度に比べて高い給料を受け取っていると感じる月もありました。

国家公務員への就職を考える際には、こうした職員の生の声を聞いて、自身に向いているか判断することをおすすめします。

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国家総合職の年収を改善する動き

国家総合職(キャリア官僚)の年収を改善する動きには、以下の2つが挙げられます。

  • 基本給・初任給の引上げを中心とした待遇改善
  • 職員ごとの成果を重視した給与体系へのシフト

政府が優秀な国家公務員の確保に向けた待遇改善に力を入れているのは、就職を判断する際に押さえておきたい事実です。

それぞれのポイントを詳しく説明します。

基本給・初任給の引上げを中心とした待遇改善

国家総合職の年収に関する動きとして、基本給・初任給の継続的な引上げが最も大きなトピックです。令和6年には、約30年ぶりとなる高水準のベースアップが行われました。

なかでも初任給の大幅な引上げが実施され、国家総合職の大卒の基本給(俸給)が14.6%増えた結果、本府省勤務の初任給は月収28万円になっています。また、国家公務員の若年層全体の基本給が引き上げられ、入省3年目までの係員も平均7.6%の収入増です。

優秀な人材の獲得が厳しいなかで、人事院は若手を中心に据えた待遇改善を今後も続けていくと表明しています。

参照:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」

職員ごとの成果を重視した給与体系へのシフト

国家総合職の年収と関連して、職員ごとの成果や評価をできる限り反映する給与体系へシフトしている点も重要です。令和7年以降の大きな動きは、ボーナスの支給をより柔軟に運用する制度変更です。

具体的には、ボーナスが以下のとおり見直されます。

国家公務員のボーナスの制度変更
  • 最上位の「特に優秀」評価のボーナス支給月数の上限を現状の2倍から3倍に引上げ
  • 最上位の「特に優秀」評価の適用者を現状の「上位5%以上」から拡大可能に

制度変更により、現状よりも多くのボーナスをもらえる職員の数が増えると見込まれます。そのほか、年功序列で上がる傾向にあった管理職の年収も、より職責や職務の実態に応じたものへと見直される予定です。

参照:人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」

国家総合職の年収への理解を深めて後悔のない選択をしよう

国家総合職(キャリア官僚)の年収は、国家一般職や民間企業の平均と比べると見劣りしないものの、就職先として競合する企業よりも低いのは事実です。

一方で、残業代を含めると大手企業の年収と遜色のない収入となるケースもあります。また、初任給の引上げをはじめ、若手を中心とした待遇改善の動きが進んでいるのも注目すべき点です。

本記事を参考に国家総合職の年収を幅広い視点で理解して、後悔のない選択をしましょう。

なお、本記事の筆者は、国家公務員の実態をより深く理解したい方に向けて相談サービスを実施しています。記事では伝えきれない情報の提供や個々の状況に応じた官庁訪問対策のサポートが強みです。

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この記事を書いた人

筆者は新卒から国家公務員(国家総合職)として約7年間勤め、政策の企画立案・調整、調査研究、国会の対応など多岐にわたる業務に取り組んできました。

本メディアでは、自身の経験をもとに、公務員の就職・転職・退職に関するコンテンツを提供しています。

就職・転職・面接対策に関する相談サービスも提供中です。

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