公務員を退職してフリーランスになるのは、高収入や自由な生活の獲得につながる魅力的な選択肢です。
一方で「いきなりフリーランスになっても大丈夫か」「元公務員ならではのメリットや難しさを知りたい」などの悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、元国家公務員の筆者が、公務員からフリーランスになった経緯やメリット、注意点などについて経験を交えて解説します。
フリーランスとして活躍するイメージをもって、自分にとってベストな選択ができるよう、ぜひ最後までご覧ください。
筆者が公務員からフリーランスになった経緯

筆者が7年間勤めた国家公務員を退職してフリーランスになったきっかけは、仕事をしていくなかで、行政の立場からは解決が難しい分野への関心が高まったためです。
筆者はもともと霞ヶ関の某省庁に勤め、重要政策の企画・立案や国会対応業務など、いわゆる事務系の国家公務員として一般的な仕事をしていました。
それ自体はやりがいはあったものの、人生のなかでプレイヤーとしてどうしても携わりたい分野ができ、思い切って退職をした次第です。筆者のように、公務員として携われる仕事に限界を感じて退職するケースは一定数あります。
もちろん、退職前には多くの企業やフリーで働く人の声を聞き、幅広い選択肢を検討した上で、最終的にフリーランスになる決断をしました。
現在は自身の関心分野での起業の準備をしつつ、ビジネスやマーケティングの力を磨くため、ウェブ系フリーランスとして働いています。コンテンツの作成や生成AIコンサルティングなどを中心に、常に企業7,8社程度と業務委託契約を結び、生計を立てている状況です。
退職するまでビジネスやウェブはまったくの未経験ながら、手探りで何とか取り組んできたため、同じような公務員の方の参考になればと思っています。
【実例紹介】公務員を退職してフリーランスになる主な理由

筆者自身の経験やフリーランス仲間への聞き取りにもとづくと、元公務員が退職してフリーランスになる主な理由は以下の3つに分類されます。
- 公務員の仕事内容や評価に違和感をもつようになったため
- 場所や時間に捉われない働き方に魅力を感じたため
- 育児や介護などライフイベントが理由で、フルタイム勤務が困難になったため
筆者のように、公務員の仕事や人事評価に納得しきれず、職業生活を充実させたいという理由で辞める人は多くいます。特にフリーランスであれば、自分でやりたい仕事を選べて成果に応じた評価を受けられるため、実力主義で戦いたい場合には良い選択肢です。
さらに、公務員はどうしても対面業務が中心であり、勤務時間も固定化されているため、より自由な生活を手に入れたくて辞める人もいます。実際に、ほとんどのウェブ系フリーランスは自宅で働いており、なかには田舎や海外でワーケーションを楽しんでいる場合もあるようです。
また、育児や介護などで公務員のフルタイム勤務が困難になり、やむを得ず自宅で働けるフリーランスを選ぶ人も一定数います。パートナーがフルタイムで働いており、自らは副収入を得るためにフリーで働く場合が多い印象です。
上記の理由の一つ、あるいは複数の理由で独立しているケースなどさまざまです。前職である国家公務員や地方公務員、教員、消防士などを辞めて、ウェブ系フリーランスとして活躍しています。
いずれも多くの人が、企業への転職と悩んだ末に決断していました。最終的には「どうせ公務員をやめるなら」や「直観を信じて」という理由が聞かれました。
公務員を退職してフリーランスになって感じたメリット

元公務員の筆者がフリーランスになって感じたメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 仕事の幅や収入の可能性に限界がないこと
- 毎日の生活がとにかく自由であること
- 公務員時代の資質が高く評価されたこと
各メリットについて、筆者の実体験に即して具体的に紹介します。
仕事の幅や収入の可能性に限界がない
携われる仕事の種類や得られる収入に限界がなく、自ら仕事をコントロールできることが、公務員からフリーランスになる大きなメリットです。
自身がやりたいビジネスに取り組めるうえ、成果がクライアントからの評価に直結するため、収入は稼働時間に比例して増えていきます。
例えば筆者の場合、信頼を得られたクライアントから、メイン業務であるコンテンツ制作のほかにも、以下の業務に関する声がけをもらって幅広く取り組んでいます。
- 企業の公式サイトの改善やデータ分析
- 生成AIを活用する新規事業の企画・支援
- 他の業務委託契約者の管理業務
- 有料広告やSNSを作成・運用する代行業
一つひとつはスモールビジネスが多いものの、いま市場で求められる仕事にどんどん挑戦できることはやりがいがあります。
何よりも、個人として信頼されて「あなただから頼みたい」といわれるのは非常に嬉しい瞬間です。公務員の場合は個人の成果が評価されにくく、副業の規制も厳しいため、仕事の幅を広げるのは容易ではありません。
さまざまな業務に挑戦して自身の可能性を広げたい人には、フリーランスが向いているといえます。
毎日の生活がとにかく自由である
公務員を退職してフリーランスになるメリットには、一年を通して日々の生活が自由であることが挙げられます。フリーランスは成果のみが求められる仕事なので、24時間・365日の使い方にほとんど制限がありません。
例えば筆者の場合、自身の生活リズムや性格に合わせて1日を以下のようにアレンジしています。
時間 | やること |
---|---|
7:00~11:00 | 自宅で仕事をする |
11:00~15:00 | 好きな場所に出かけてイベントや食事を楽しむ |
15:00~18:00 | 外出先や自宅で仕事を再開する |
18:00~ | 予定や気分に応じて、外出や仕事をする |
特に、平日の人が少ない時間帯に好きな場所に出かけられるのは、大きなメリットだと感じています。また、人によって集中できる時間は異なるため、自分に最適化した時間で働けるのも魅力です。
公務員はどうしても定時があり、働く場所も決められています。自身のペースで仕事をしたい人には、フリーランスはぴったりの働き方です。
公務員時代に得られたスキルやマインドが評価される
公務員時代に培ったスキルや知識、考え方などが仕事で評価されやすいことも、退職後にフリーランスになるメリットの一つです。
フリーランスの仕事は、マーケティング施策の企画・立案の支援やライティング、デザイン、動画制作など幅広く、自分の資質や経験が活かせる仕事が必ず見つかります。
筆者の強みであった政策に関する文章作成やリサーチの経験は、フリーランスではなかなか活かせないだろうと思っていました。しかし、意外にも需要は存在し、現在2社との間で公務員の経験を直接生かしたコンテンツ制作を担っています。
スキルや知識が直接役に立たなそうな場合でも、特定の公務員の経験自体が評価されるケースは少なくありません。また、実はフリーランスの世界では、公務員のように期日どおりに正確な成果を出すマインドが非常に貴重とされています。
公務員の経験を活かして、フリーランスの世界で競争優位に立てるのは、元公務員ならではの強みです。
公務員を退職してフリーランスになって感じた難しさ

元公務員の筆者が退職してフリーランスになって感じた難しさには、以下の3つが挙げられます。
- 駆け出しの時期は収入がまったく安定しない
- 常に成果を求められるプレッシャーがある
- 案件獲得のための営業は難易度が高い
フリーランスはやりがいに溢れた仕事でありながら、軌道に乗るまでは苦しい時期が続くことも否定できません。
筆者の経験や実感を交えながら、それぞれについてありのままを紹介していきます。
駆け出しの時期は収入がまったく安定しない
公務員を退職したフリーランスが最初にぶつかる壁が、駆け出しの時期の収入が安定せず、生活に不安を抱えやすいことです。
一般的にフリーランスは、企業と業務委託契約を結んで働きます。そのため、短期的には会社員よりも大きな収入を得られる場合がある一方で、明日から仕事がなくなる可能性も否定できません。
実際に筆者の経験として、最初の1ヶ月は営業がほとんどうまくいかず、収入が10万円弱にとどまりました。また、軌道に乗り始めてからも、取引先の企業の案件がなくなり、収入が20,30万円単位で減ることもあります。
公務員は、毎月の安定した給料や手当・育休などの福利厚生が大きなメリットです。もし退職金の金額も含めて、数ヶ月間ほぼ収入がなくても耐えられる余裕がなければ、フリーランスになるのは慎重に検討する必要があります。
常に成果を求められるプレッシャーがある
公務員を退職してフリーランスになると、公務員時代と比較して、常に品質の高さや数字での成果を求められるプレッシャーがあります。
フリーランスは、基本的に個人のプロとして戦う仕事です。同業者のライバルと絶えず比べられており、手を抜くと仕事がすぐに減っていくリスクを意識する必要があります。
筆者の場合、公務員時代から成果物の質にこだわりすぎてしまうタイプでした。その筆者の性格でも、短納期の中で高い成果を出し続けるのは簡単ではないと日々実感しています。
現在ではフリーランスのチームで働くことで楽になりつつありますが、特に駆け出しの頃は、深夜まで作業が続くことが多くありました。
もちろん、成果が優れていれば収入がどんどん伸びていくのも事実ですが、厳しい競争環境が自分にとって本当に向いているかは慎重に検討するとよいでしょう。
案件獲得のための営業が大変である
公務員の退職後にフリーランスになると、良い案件を獲得するための新規・継続の営業が大変であることに気づきます。より待遇がよく、価値ある仕事をするためには、自分自身を最大限売り込まなければいけません。
筆者は現在多くの企業と契約をしているものの、継続的な案件を得られるまでにその何倍もの数の会社に営業をして失敗してきました。
フリーランスの場合は「経歴」ではなく「提案」が求められます。待ちの姿勢では仕事が取れないため、企業が抱えるニーズや課題を深く理解して、他のフリーランスに先んじて関係を作っていくことが重要です。
上司からやるべき仕事を指示される公務員と比較して、フリーランスになってすぐは営業の難しさを感じると思います。営業が重要な世界に入っていくことをあらかじめ覚悟しましょう。
公務員を退職してフリーランスになる前にやっておくべきこと

公務員が退職してフリーランスになる前にやっておくべきことには、以下の2つが挙げられます。
- 自身の興味分野における市場価値を試してみる
- 実際にフリーランスとして活躍している人の話を聞く
退職後に後悔しないために、できるだけ時間をかけて準備することがおすすめです。
筆者の経験をもとに各ポイントを詳しく説明していきます。
自身の興味分野における市場価値を試してみる
公務員を退職してフリーランスになる前に、自身が興味を持っている分野で活躍できるかどうか市場価値を試してみる必要があります。フリーランスは好きな仕事に挑戦できる可能性はあるものの、それは市場で勝てる素質やスキルがあってこそです。
市場価値の試し方としては、以下のような手段が考えられます。
- 興味分野で活躍するフリーランスの成果物を調べて、自分にもできそうか考える
- スキルを得られる講座やコミュニティに入ってみて、実際に学んでみる
- 実際にコンテンツ(記事やデザイン、動画など)を出してみる
筆者の場合は無料のコミュニティに入り、この世界であれば十分戦っていけると感じて一歩を踏み出せました。活躍している人やコミュニティの情報は、X(Twitter)や個人ブログなどに溢れており、簡単に見つけられます。
交流や実践の場を見つけて、まずはオンラインで参加して自分の価値を試してみるのもよいでしょう。
実際にフリーランスとして活躍している人の話を知る
公務員からフリーランスになる前に、実際に活躍している人の話を知り、自分が同じようになれるかイメージすることが重要です。特に、ネットだけだとどうしても表面上の情報のみであり、仕事の難しさや失敗談などは十分に伝わってきません。
筆者の経験としては、まずはフリーランスに関する書籍をきっかけに関心をもち、その後にコミュニティに入るという流れで業界に詳しくなっていきました。
私がフリーランスに興味をもつきっかけになったのは、以下の本です。
ビジネスの世界に入ることを考えていたとき、この本をなんとなく本屋で手に取り、「こんな生き方もあるのか!」と衝撃を受けました。
また、身近にフリーランスがいない方に向けて、本記事の筆者は相談サービスを実施しています。リスクを重視しがちな公務員の方と同じ目線で話せるだけでなく、周りに元公務員・フリーランス仲間がいるため、さまざまな事例を提供できる点が強みです。
フリーランスになろうか迷っている方は、ぜひリンクから詳細をご覧ください。
公務員を退職してフリーランスへの一歩を踏み出そう
フリーランスは仕事の幅や収入の可能性が開かれており、自由な生活が送れる魅力的な働き方です。一方、収入が不安定であり、常にプレッシャーもあるので、やっていけるかどうか幅広い視点で慎重に検討する必要があります。
フリーランスになる前には、自身の能力を試す機会を持ちつつ、ネットだけではなく実際に活躍している人の話を聞くのがおすすめです。
本記事を参考に、自身がフリーランスとしてやっていけると判断した方は、魅力的なフリーランスへの一歩を踏み出しましょう。
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