「国家公務員のインターンシップは意味ない?行くべき?」「高倍率を突破するには何が必要?」と疑問を持つ就活生の方も多いのではないでしょうか。
国家公務員のインターンシップは、実際の省庁で業務を体験できる貴重な機会です。公式には採用選考と無関係とされていますが、業務理解の深まりや志望動機の具体化など、間接的に本選考で有利に働く要素があります。
本記事では、元国家公務員の筆者が、インターンシップの概要や参加のメリット、志望動機のポイントなどを徹底解説します。ホームページでは読み取れないリアルな情報を得るために、ぜひ最後までご覧ください。
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国家公務員のインターンシップとは
国家公務員のインターンシップとは、学生が官公庁で実際の業務や雰囲気を体験し、職務内容や組織文化を理解するための制度です。大学生や大学院生などが対象で、主に夏季(8月~9月)や冬季(12月~2月)の長期休暇期間に実施されます。
プログラムの期間は1日の短期から1ヶ月程度の中期までさまざまです。基本的に無給であり、交通費や滞在費も自己負担となるケースがほとんどです。
国家総合職志望の場合は、霞ヶ関にある本府省のインターンシップに参加します。一方、国家一般職志望の場合は、地方にある出先機関のインターンシップを選ぶ場合があります。
インターンシップへの参加は、官庁への理解を深め、自分に合った進路選択のための判断材料を得られる貴重な機会です。
国家公務員のインターンシップが本選考で有利になる理由

国家公務員のインターンシップは「採用選考活動とは直接関係ない」と公式には説明されています。しかし、実際には以下のように本選考で有利になりうる要素が存在します。
- 省庁や業務への理解が深まるため
- 仕事への適性や熱意を示せるため
- 志望動機に具体性を持たせられるため
元国家公務員の視点から、それぞれの理由を詳しく深掘りします。
省庁や業務への理解が深まるため
国家公務員のインターンシップを通じて省庁や業務への理解が深まることは、本選考において有利になる要素です。
実際の職場で業務を体験し、職員とともに時間を過ごすことで、公式サイトやパンフレットにはない貴重な情報を得られます。政策が企画・立案され、関係各所との調整を経て実行に移されるプロセスの一端に触れる機会もあるでしょう。
また、日々の業務や職員との対話を通じて、国家公務員に求められる知識やスキル、倫理観、思考様式などを具体的に理解できます。これにより、入省後に「イメージと違った」と感じるミスマッチのリスクを減らす効果もあります。
仕事への適性や熱意を示せるため
国家公務員のインターンシップに参加したという事実は、その省庁の業務に対する強い関心を示す根拠となります。インターンシップの参加には一定の時間や労力が必要であり、参加によって就職先として真剣に検討している姿勢が伝わるためです。
また、インターンシップ中に知り合った職員や学生とのつながりができ、国家公務員への志望度がさらに高まる場合もあります。
なお、インターンシップ中の行動や発言は、受け入れ部署の職員によって観察されており、本選考時の参考情報になる可能性は否定できません。ただし、あくまで一材料にすぎないため、過度に気にせず自然体で参加しましょう。
志望動機に具体性を持たせられるため
国家公務員のインターンシップで実際に担当した業務内容や感じたやりがいなどを志望動機に盛り込むことで、説得力のある内容にできます。
特定の政策課題に実際に触れる経験は、その分野への問題意識を深め、自分がその課題解決に貢献したい理由を具体的に言語化する助けとなります。インターンシップ参加者ならではの具体的なエピソードや気づきは、他の志望者との差別化を図り、本選考を有利に進めるための強力な要素です。
面接で志望動機を深掘りされた際にも、実体験に基づいた具体的なエピソードを交えて応答できるため、話の説得力が増して面接官の理解を得やすくなります。
国家公務員のインターンシップの種類
国家公務員のインターンシップは、各省庁が実施するものと人事院が主催するものの二つに分類できます。
項目 | 各省庁実施型 | 人事院主催型 |
---|---|---|
概要 | 個々の省庁が企画・運営 | 霞が関インターンシップ |
対象 | 学生 | 公共政策大学院生・法科大学院生 |
実施時期 | 通年(省庁ごとに異なる) | 主に夏季 |
期間 | 数日~数週間 | 2週間 |
主な応募方法 | 各省庁のサイトから応募 | 大学・大学院を通じて応募 |
それぞれの詳細を詳しく説明します。
各省庁が実施するインターンシップ
各省庁が実施するインターンシップには、外務省、財務省、経済産業省など、個々の省庁が主体となって企画・運営するものがあります。プログラム内容は、それぞれの省庁が所管する行政分野や業務の特性を反映したものとなる傾向があり、特定の政策課題や専門業務に深く触れる機会です。
募集情報の公開や応募受付、選考プロセスは、各省庁が独自に行うのが一般的です。実施される時期や期間は省庁によって異なりますが、多くは学生の長期休暇期間(夏、冬、春)に合わせて、数日間から数週間の期間で設定されます。
参照:内閣官房「職場体験イベント情報特設サイト」
人事院が主催するインターンシップ
霞が関インターンシップは、人事院が中心となって企画し、各府省庁が協力して学生を受け入れる形態をとります。対象は、公共政策大学院生と法科大学院生に限られます。
多数の省庁が参加するため、学生は幅広い行政分野の中から関心のある分野を選び、業務の体験が可能です。省庁横断的な視点や、国家行政全体の仕組みへの理解を深めることを目的の一つとしています。
霞が関インターンシップに参加したい場合は、基本的に大学・大学院を通じて応募する必要があります。
参照:人事院「霞が関インターンシップ(霞が関体験プログラム)」
国家公務員のインターンシップの主な内容
国家公務員のインターンシップで体験できる内容は、実施する省庁やプログラムの期間・目的によって多種多様です。一方、以下のようにいくつかの共通する要素がみられます。
- 実際の業務体験
- グループワークや政策立案体験
- 現役職員との座談会
それぞれの詳細をみていきましょう。
実際の業務体験
国家公務員のインターンシップは、担当職員の指導・監督のもと、実際の業務の一部を経験するOJT(On-the-Job Training)形式が取られることが多くあります。
主な業務体験例として、以下が挙げられます。
- 会議用資料の作成補助
- 関連データの収集・整理
- 議事録の作成補助
- 政策現場の視察への同行
- 省内会議への参加
また、担当部署の職員から、省庁の役割や現在取り組んでいる業務内容などについて詳しい説明を受ける時間も設けられます。
グループワークや政策立案体験
国家公務員のインターンシップでは、参加学生が数名のグループに分かれ、特定の政策課題について政策提言を行うワークショップがしばしば導入されます。実際の政策立案プロセスを簡略化・模擬体験することで、アイデアの発想から具体的な政策提案に至るまでの一連の流れを学べます。
グループワークの最後には、検討・作成した政策提言や分析結果について、職員の前でプレゼンテーションする機会が設けられるのが一般的です。発表後には、担当職員からフィードバックやアドバイスを受けられます。
現役職員との座談会
インターンシッププログラムの一環として、さまざまな部署や役職の現役職員と直接対話し、交流する機会が設けられることが一般的です。学生は、仕事の具体的な内容やワークライフバランスの実態、公務員試験の体験談など、疑問点を自由に質問できます。
公式の説明会などではなかなか聞けない、職員個人の経験に基づいた率直な意見や、現場の「生の声」に触れることができる貴重な機会です。こうした交流を通じて、将来ともに働く職員とのつながりを築ける可能性もあります。
国家公務員のインターンシップの倍率
国家公務員のインターンシップ、特に中央省庁が実施するものや霞が関インターンシップは、選考倍率が高くなる傾向にあります。
省庁や実施年度、プログラムの内容(国家総合職向けか国家一般職向けかなど)により倍率は大きく変動するため、具体的な数値を一概に示すことは困難です。各省庁や人事院はインターンシップの応募者数や倍率を公式に発表していないため、正確な倍率は分かりません。
一部の人気省庁や特定のプログラムでは、倍率が数十倍に達する可能性もあります。高倍率を前提として、特に志望動機の作成に十分な時間をかけて臨みましょう。
国家公務員のインターンシップの志望動機

国家公務員のインターンシップの選考は、多くの場合、エントリーシート(ES)による書類選考が第一段階となり、通過者に対して面接が実施されます。
志望動機を作成する際は、「なぜ民間企業ではなく公務員なのか」という問いに対する明確な答えを持つ必要があります。単に「社会貢献がしたい」といった抽象的な理由だけでは不十分です。公共性や公平性、影響力の大きさといった公務の特性と、自身の価値観や経験を具体的に結びつけて説明しましょう。
次に、「なぜ他の省庁ではなく、その省庁のインターンシップを希望するのか」を具体的に示すことが重要です。事前にその省庁の役割や政策、最近の取り組みなどを十分に調査し、自身の関心分野や将来貢献したい領域と関連付けて記述しましょう。
自身の持つ強みやスキル、これまでの経験が、その省庁の業務やインターンシップの活動にどのように活かせるかを示せれば、魅力的な志望動機になります。
志望動機に説得力があるかどうか確認するには、第三者の意見をもらうことも重要です。本記事の筆者も国家公務員志望者向けの相談サービスを実施しているため、ぜひ活用をご検討ください。
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国家公務員のインターンシップの探し方・申し込み方法
国家公務員のインターンシップに参加するためには、興味のあるプログラムを見つけて、期限内に申し込む必要があります。主な情報源と申し込み方法は以下のとおりです。
- 各省庁公式サイトで情報収集する
- 人事院ウェブサイトを活用する
- 大学のキャリアセンターを訪問する
それぞれ詳しく説明します。
各省庁公式サイトで情報収集する
多くの省庁は、公式サイト内に「採用情報」「インターンシップ」といった専用ページを設けており、インターンシップに関する情報は主にそこで公開されます。
各省庁サイトで確認すべき情報は以下のとおりです。
- プログラム内容と特色
- 対象学年・応募資格
- 実施期間と場所
- 選考方法と提出書類
- 応募締切日
インターンシップの募集時期が近づくと、こうした情報が詳細に掲載されます。関心のある省庁のサイトは、募集期間が予想される時期にチェックすることが不可欠です。
また、省庁によっては、採用関連情報を定期的に配信するメールマガジンを発行している場合があります。メールマガジンに登録しておくと、インターンシップ募集開始などの情報を見逃しにくくなります。
参照:内閣官房「職場体験イベント情報特設サイト」
人事院ウェブサイトを活用する
人事院が運営する「国家公務員試験採用情報NAVI」は、国家公務員全体の採用試験情報を掲載しているサイトです。同サイトには、各省庁が実施する説明会やセミナー、インターンシップを含む各種イベント情報が集約されています。
特に、複数の省庁が参加する「霞が関インターンシップ」に関する情報が一括して案内されます。参加省庁の一覧やプログラム概要などをチェックしましょう。
参照:人事院「説明会・セミナー情報」
参照:人事院「霞が関インターンシップ(霞が関体験プログラム)」
大学のキャリアセンターを訪問する
大学のキャリアセンター(就職課・キャリア支援室など)は特定の省庁から直接インターンシップの募集案内が届き、学内限定で参加者を募集するケースがあります。これらの情報はキャリアセンターの掲示板やウェブサイトで公開されることが一般的です。
「霞が関インターンシップ」は、人事院から各大学に対して募集案内があり、大学が応募学生を取りまとめて人事院(または各省庁)に推薦する形式をとっています。応募を希望する場合は、所属大学のキャリアセンターを通じて所定の手続きを行いましょう。
まとめ
国家公務員のインターンシップは、官公庁での実際の業務や雰囲気を体験できる貴重な機会です。
インターンシップへの参加は、本選考で直接的に有利になるわけではありません。しかし、省庁や業務への理解を深め、志望動機に具体性を持たせるという点で間接的に大きなメリットがあります。
国家公務員を目指す方は、インターンシップに積極的に参加し、自分に合った省庁や職種を見極めるための判断材料とすることをおすすめします。
本記事の筆者は、国家公務員への就職を目指す学生に向けて、面接対策や志望動機の添削など、個別相談サービスを提供しています。元職員ならではの視点から、インターンシップの選考対策から本選考までトータルでサポートしますので、お気軽にご相談ください。
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